痛み
骨転移している恥骨と坐骨周辺が痛む。
歩く時はもちろんのこと、安静にしていても疼痛を感じる。前は、寝返りを打つたびに痛みで目が覚めていた。
私は痛みに鈍感なところがある。乳がんの手術後、周りが痛がって鎮痛剤を投与されていたが、私は筋肉痛の軽い程度にしか感じず、鎮痛剤は使わなかった。
そのため、この痛みの度合いが骨転移の痛みのMAXなのか、まだ先があるのか判断がつかない。今の痛みなら耐えられるが、これ以上痛くなったら…と不安がある。
現在処方されている鎮痛剤は2種類。飲み薬のトラマールと坐薬のボルタレンだ。強さは飲み薬の方が強いらしいが、効いている時間は坐薬のほうが長い。
医師からは「トラマールは麻薬に匹敵するくらい強い痛み止めです。にゃーさんは家が遠いからなかなか薬だけのために通院できないと思うので、送付できるトラマールにします。これでもダメならまた考えましょう」と言われた。
今、朝晩飲んでみているが、痛みが緩和されているか微妙なところ。大体2割減くらいしか効いていないように思う。それでも麻薬を今から使うのは躊躇う。
今の痛みの度合いが、MAXの痛さの何%くらいなのかわかるといいのにな。
ランマーク
骨転移によって骨が脆くなっている。私の場合、左の恥骨と坐骨、右の肩甲骨に転移が見られるわけだが、とりわけ恥骨と坐骨がひどい。素人の私が見ても明らかに形が変わり、輪郭もガタガタしている。先生は「骨がボロボロになってしまっている」と言っていた。
すぐさまランマーク治療が始まった。4週に一度、骨修飾薬を注射する。問題は、顎骨壊死の危険だ。
私は小さい頃に歯列矯正をしたくらい歯並びが悪かった。そのせいで虫歯も多い。当初は銀歯にしていたが、乳がんの再建手術後、歯も治そうと銀歯をすべてセラミックに変えた。それから3ヶ月に一度メンテナンスに通っていたが、それでも昨年は犬歯に膿が溜まって治療した。
そんな事例があったため、戦々恐々としている。ランマーク治療中の顎骨壊死は100人に1人。決して確率は低くない。
まずは間食を控えて、こまめにうがいをする習慣をつけたい。
ダイエット
昨年11月に一念発起し、今年4月までの5ヶ月間で15キロ減らした。最近話題のリングフィットとフィットボクシング2の成果だ。しかし、4月末からの腰痛と股関節の痛みで(のちに骨転移とわかったわけだが)、そこで運動によるダイエットはストップした。結果、現在3キロリバウンドしている。
できればもう5〜10キロくらい体重を減らしたいのだが、乳がん&骨転移&子宮摘出予定という体でできる運動が、果たしてあるのだろうか。
ダイエットといえばダンベルやスクワット、ウォーキングなどがお手軽だと思うけれど、ダンベルはリンパ浮腫が怖いし、他は骨折の危険がある。かと言って、食べないダイエットは今は厳しいだろうなあ。
今後の治療や健康のためにも、体重を落とすのは大事なのだが、どうしたらいいものか。
とりあえず、あすけんでレコーディングだけはしておくつもり。
断捨離
骨転移発覚から10日。
気持ちはだいぶ落ち着いてきて、今は猫の看病をしながら断捨離をしている。
私はオタクで蒐集癖があるため、とにかく物が多い。こんなものを残されても家族が困るだろうと、同じ趣味の人に譲ったり売りに出したりした。それでもまだ1/10くらいしか減らない。骨転移で骨が脆くなっているため、友人の手を借りたが、その友人も明後日には帰るので、これからが大変だ。
メルカリの方が価格は上がるだろうが、あまり出歩きたくはないから、あとは少しずつ玄関に運んでダンボールに詰め、業者に取りにきてもらうつもりだ。
幸い余命宣告はされていないから、まだ期間はあるだろう。なるべく周りに迷惑をかけないよう、気をつけたい。
猫
愛猫の病状が思わしくない。
昨年11月にしこりが見つかり、すぐに手術するはずが、甲状腺の値が異常で手術をするともたないと言われた。1ヶ月かけて薬を飲ませて落ち着かせ、12月に手術をした。しこりは無事取り除けたが、病理で血管腫だとわかった。
「余命3ヶ月。抗がん剤を使っても半年」と言われた。抗がん剤を使うかはかなり悩んだが、苦しい思いをさせても3ヶ月しか長くならないなら、病院に通って注射させるのもかわいそうだと考え、これ以上治療しないことにした。
春まではもたないと覚悟していたが、夏を迎えられた。玄関フードで遊ぶ姿を微笑ましく見ていたが、だんだん食欲がなくなり、動きもスローになってきた。
私の手術の日程を決める際に、「8月中がいいか」と聞かれ、咄嗟に「9月に入ってからお願いします」と言った。家族には最短だと嘘をついた。愛猫を看取りたいと思ったからだ。
長生きして欲しいと思う一方で、これ以上苦しんでほしくない。そして、一番辛い時に支えてくれた猫の、一番辛い時期に一緒にいたい。
ギリギリの選択だった。
もし手術まで生きてくれたら、私がいない間に旅立つことも覚悟する。臆病で寂しがり屋な愛猫。その時は心から詫びたい。
CSセット
今までに乳がん関連で4回入院した。
最初の病院では、入院期間10日間の予定が4週間となった上に、売店がなかったためにえらい目にあった。シャンプーリンス、基礎化粧品、洗濯洗剤等々、とにかく必需品が枯渇したのだ。
そのため、次の病院に入院する時には、前回の教訓を活かして半端ない荷物量を用意した。もちろん1人では持ちきれないため、行きは宅配を利用し、帰りは親戚に車で送ってもらったほどだ。
今回の入院は、母が誰にも知られたくないと言っているため、親戚には頼れない。荷物をどうしようかと考えていたところ、このCSセットという存在を知った。
CSセットとは、ケアサポートセットの略称で、手ぶらで入院できるようにするためのレンタルサービスらしい。病衣はもちろん、箸やスプーン、ボックスティッシュ、歯ブラシセット、タオル、果てはオムツまで用意してくれる。希望者にはシャンプーリンス、ボディソープも使える様にしてくれる。
今回はこのセットをレンタルする予定だ。入院準備が楽になり、在庫がなくなる心配もなく、とても気が楽だ。
連帯保証人
手術の申込書。
連帯保証人をいつも誰にしていますか?
過去の乳がん関連の手術では、親戚や近所に住む親の知人にしていたが、今回は親がそれを渋っている。どうやら、私の病状を話すことが躊躇われるらしい。それはそうだろう。親自身もまだ現実を受け止められていないというのに、他人に話して根掘り葉掘り聞かれるのは、嫌に決まっている。
そこで、私の方で連帯保証人を探してくれ、という話になった。
誰がいいのかと考え、すぐに答えは見つかった。友人Aだ。
友人Aとは10年前にインターネットを介して知り合った。当時私が好きだった作品のファンアートを描いていて、作品に惚れこんで連絡を取った人だ。その後、オフでも会い、共に同人サークルを立ち上げて今に至る。お互いの実家も行き来し、過去にはAの祖母のお葬式にも参列したことがある。知り合ったのはネット上だったが、今では一番の親友と言える間柄だ。今回も、転移の話をするとすぐに駆け付け、昨日は病院に付き添ってもくれた。
私は小中高と地元の学校に通ったが、どうしてもクラスに馴染めず、友達らしい友達がいなかった。大学に進学してからはそれなりに友達もできたが、実家を行き来するまでとはなっていない。大学院の同期とは、卒業後誰とも連絡を取り合っていないくらいだ。それほど人間関係が希薄な私にとって、10年以上こうして付き合いがある相手は珍しいというか稀有だ。Aにとって良かったのかどうなのかはわからないが、私にとってはいい出会いだったと心から思う。
昨日早速連帯保証人の件を依頼し、二つ返事でOKをもらった。
あと1週間ほど滞在してくれる予定なので、部屋の整理をしたり猫の世話を手伝ってもらったりするつもりだ。