カウントダウン

誰にも期日はわからない

旧友と知人

大学時代は寮生活をしていた。 寝食を共にした仲間なの中には、気が合って未だに連絡を取り続けている人もいる。コロナ禍の前には、一緒に旅行に出かけた元寮生いるくらいだ。 今回の転移の件は、その友達には伝えた。 そして、当時同室だった寮長にも、考えた末に伝えることにした。最初のLINEで伝えた時には、「ショックです。私に何ができるか考えます」と返事が来た。ショックなのはわかる。私も逆の立場なら同じことをまず感じただろう。本人に言うかは別にして。続く「何ができるか」については、違和感があった。私は何かを期待して、伝えたわけではない。ではなぜ伝えたかったのか。たぶんそれは、痛みに共感し、辛さを理解してもらいたかったのだと思う。 勝手な言い草かもしれないが、人に伝えることは自分に言い聞かせることにもなり、人によっては心が落ち着くからだ。かと言って、誰でも良いわけではない。却って心が荒むこともある。 今日になって再び寮長からLINEが来た。寮長は言った。「寮の同期のみんなに伝えても良いだろうか」と。これには愕然とした。それが私にできる何かだと、寮長はなぜ思ったのだろう。逆になぜ伝えても良いと私が言うと思ったのか。理解に苦しむ。 卒業してかは、既に20年近く経つ。 その間、一度も連絡をしていない人の方が多い。 そんな人たちに知らせて、一体何になるのか。 ワイドショーのように、話のネタにされて終わるのではないのか。 私は少し考えてから寮長に返信した。 「伝えたい相手には自分で伝えるから、お気遣いは無用です」と。 たったこれだけのことなのに、やけに心がささくれた。 私の甘えが引き起こしたことだ。 また1人心が離れた人ができてしまった。